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2026年4月17日「IMFによる警鐘、燃料補助金を導入することは避けるべきと」

 国際通貨基金(IMF)は15日、「財政モニター」を公表した。その中で、中東での戦争により、既に脆弱化している世界の財政への負担が一段と強まっているとの見方を示した。(ロイター)

 ロドリゴ・バルデス財政局は国民が原油不足とそれに伴うエネルギー価格の高騰に対処できるように、燃料補助金を導入することは避けるべきと主張した。価格上昇を覆い隠さない、対象を絞った一時的な現金給付の方がはるかに良い選択肢だと語った。

 日本政府は3月19日から「中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置」を実施している。原油価格高騰による石油製品価格の高騰を抑制するため、緊急的に燃料油(ガソリン、軽油、重油、灯油、航空機燃料)に対する支援を行っている。

 緊急的激変緩和措置の実施期間中、燃料油元売りに価格引下げの原資として補助金を支給している。

 これはむしろ財政負担となっている。価格上昇を見せなくさせることで、原油不足やエネルギー価格の上昇によるリスクを多い隠すことになる。

 先日、福島県に行った際に、県内のガソリンスタンドではリッター190円や200円といったところがあった。

 燃料油元売りへの補助金なので、それがどのようにガソリンスタンドの価格に反映されるのかは地域毎などでも違うのかもしれないが、地域差も出ていたように思う。

 経済を冷やすなというが、外的要因によって原油価格が急騰した分を無理矢理、財政資金で押さえるというのは危機を見え無くすだけでなく、本来はエネルギー価格の高騰に対処すべき行動もなくすることになる。

 このまま原油価格が高い水準が続くと、いずれ給付金の原資がなくなる。もしそれで財政負担を増加させると財政悪化を懸念して国債が売られたり、円安が進行することで物価を加速させかねなくなる。

 実態を多い隠すことによって、いわゆる正常化バイアスも強めかねない。危機は危機として捉える必要がある。それを財政によって多い隠す手段は決して良い選択肢ではない。


2026年4月16日「物価の過熱を懸念」

 日本銀行は今月に示す新たな経済・物価見通しについて、中東情勢の緊迫化を受けた原油価格の高騰を主因に消費者物価の大幅な引き上げを検討する見込みだ。複数の関係者への取材で分かった(14日付ブルームバーグ)。

 久しぶりの複数の関係者の登場となる。日銀は今月27、28日の金融政策決定会合で四半期に一度の経済・物価情勢の展望(展望リポート)を議論し、最新の見通しを示す。

 当然ながらその場で議論して見通しを示すというより、事前に準備して臨むものとなる。

 2月28日に米とイスラエルは3か所で開催されていたイラン政府高官らが集まる会議に対し、同時に空爆を開始した。

 米軍とイスラエル軍がイランに大規模攻撃を実施したことにより、原油輸送ルートの要衝であるホルムズ海峡が実質的な閉鎖状態となった。

 中東依存度が9割以上と世界の中でも突出して高い日本において、ホルムズ海峡の実質的な閉鎖状態は、原油そのものが中東から入ってこないことを示す。

 ただし、2026年3月現在、日本には官民合わせて、約8か月分の石油備蓄がある。これによって原油そのものについては備蓄でカバーできることになる。

 しかし、原油から製造されるナフサに関しては、中東から直接輸入しているものも多い。また備蓄されている原油についてはガソリンなどに回されることが優先されよう。

 このあたりは専門外なので、良くわからない部分はあるが、すでにTOTOがユニットバスの新規受注を停止するなど影響が広がりつつあることは確かであろう。

 イラン情勢に起因する肥料供給不足といった問題も発生している。

 トランプ大統領はイラン交渉、2日以内に再開可能性と発言しているが、本当にそれが可能なのかはかなり疑問が残る。

 仮にイランとの戦闘の完全終結となったとしても、以前のような原油等の供給に戻るにはかなりの時間がかかることもたしかである。

 いずれにしても、円安もあり、原油価格や肥料などの価格上昇は物価をさらに引き上げる要因となる。

 2022年にも同様のことが起きたが、この際の物価の発射台は低かった。これに対して現在は2%近辺となっており、物価が大きく跳ね上がる懸念は強まる。

 むろんそれによる景気への悪影響も想定される。

 原油高による海外への所得移転などで景気の下振れリスクが意識されており、実質国内総生産(GDP)の下方修正が検討される可能性があるという(ブルームバーグ)。

 景気を冷やすな、も大事かもむしれないが、物価も過熱させるな、も大事となる。円安にブレーキを掛けるためにも日銀は少なくとも正常化ぐらいは進めるべきではなかろうか。


2026年4月15日「日銀の4月利上げ観測にブレーキ?」

 高市早苗首相と片山さつき財務相は赤沢亮正経済産業相に対し、日本銀行の金融政策に関連した発言を控えるよう注意したとブルームバーグが報じた。

 赤沢経産相は12日のNHK番組で、物価高対策としてガソリン補助金などを長々と続ける考えはないとした上で、輸入物価の上昇を抑える手段として円安是正に向けた金融政策も選択肢との見解を示していた。

 片山財務相は経産相は金融政策を所管していないということはわかるが、番組内の流れの上で、参加者の人のが主張するような「方向でものを考えていくことは一つの選択肢としてはあり得る」と語ったことに、それほどの違和感はない。

 ただし、これをメディアが大きく取り上げていたことは確かであり、日銀の利上げに向けた動きをフォローしているのではと捉えられた。

 それにしてもやや過敏な動きにみえる。

 木原官房長官は13日に、赤沢経済産業相がイラン情勢悪化に伴う物価高騰対策として、円高につながり得る日銀の金融政策は「一つの選択肢としてあり得ると思う」と述べたことを受け、政府として金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべきとの見解を示した。

 金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべきというのは当然ながら、官房長官は続けて下記のような発言をしている。

 「日銀には引き続き政府と密接に連携を図り、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、コストプッシュではなく、賃金上昇も伴った2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に適切な政策運営を行うことを期待している」と語った。

 これこそ日本銀行の金融政策に関連した発言というのではなかろうか。

 これらはつまり、日銀の追加利上げに対して好意的な発言は控えるようにと言っているようにみえる。

 13日の円債は売られ、10年国債の利回りが2.490%と1997年6月以来約29年ぶりの水準を付けたが、そのなかにあって2年国債は日銀の早期利上げ観測の後退からか買われていた。

 バークレイズは日銀利上げ予想を4月から6月に修正との報道もあった。

 中東情勢の先行き不透明感の強まりとともに、足元経済への影響なども懸念したものと思われるが、日銀はまだ正常化の途中であり、淡々の物価情勢に応じた金利形成を促さないと、あちこちに歪みが生じる。

 13日の信託大会における挨拶では、G20に出席している植田総裁の原稿を氷見野副総裁が代読した。このなかでは特に4月の利上げに向けての前向きの姿勢は示していなかった。

 だから日銀は4月の利上げを躊躇しているとみるのは早計ながら、どうやらリフレ色の強い高市首相は利上げについては依然として反対姿勢であると考えられる。

 欧米中銀が利下げから利上げに転じる可能性も強まるなか、日銀の正常化の遅れは円安要因となる。すでにユーロ円は過去最高値を更新している。


2026年4月14日「長期金利は運用部ショックの2.440%超えに」

 米国とイランの協議は合意には至らず。13日のWTI原油先物は100ドルを再び超えてきた。ドル円は再び160円に接近した。

 あらためて物価上昇や、それによる日銀の早期追加利上げ観測の強まりから、13日の債券市場では10年国債の利回りが2.490%に上昇し、1999年2月にいわゆる運用部ショックによって付けた2.440%を超えてきた。

 2.490%という水準は1997年6月以来となるが、あらたなゾーンに長期金利は入ってきたといえる。

 ここにきての長期金利の上昇ピッチは速いと思われるかもしれないが、2000年あたりから2020年あたりまでがむしろ動かな過ぎたといえる。

 たとえば1990年あたりから2000年あたりまでの長期金利の低下ピッチの方が急に見える。2000年以前の債券相場を知っている者にとっては、ここにきての長期金利の動きが格別大きいとは思えないはずである。

 もし1990年代に起きていた長期金利の低下と裏返しの相場となるとすれば、今回の長期金利は7%や8%に向けて上昇してきているようにもグラフ上からは読み取れる。

 ただし、注意すべきは国債残存額の違いとなる。1990年当時の普通国債残高は166兆円となっていたが、2025年度末は1129兆円となっている点となる。

 約7倍もの大きさとなっており、借換債の発行などにより、利払い費用がその分増加することになる。

 いまの債務残高のなかでの長期金利7〜8%というのは、財政負担が大きくなることであまり現実的ではない。

 3%あたりで止まってくれれば良いがと個人的には思っているものの、こちらも相場である。

 日銀が何とかしてくれると思っている人もいるかもしれないが、長期金利は市場が決めるものである。

 いや日銀は長期金利コントロールをしていただろう、という意見もあろうが、物価が上昇していない状況で、まるで日銀によって抑えられたようにみえていただけである。

 いま日銀が国債買入を増やしたり、指値オペを行うと市場はそれに対して売り向かう可能性は高い。

 長期金利は物価水準だけでなく経済動向、そして財政状況、需給状況などをみながら動く。

 いまは物価動向に即して長期金仮は動いており、積極財政下で日銀が国債の買い入れを増加させるなどすれば財政ファイナンス(マネタイゼーション)、マネタイゼーションへの懸念を強めることになりかねない。トラスショックは決して他山の石などではない。

 長期金利の思わぬ急騰を招かないためにも、政府は責任ある財政を推し進めるべきである


2026年4月13日「円安・原油高、今回と2022年との相違点」

 今年2月28日、米とイスラエルは3か所で開催されていたイラン政府高官らが集まる会議に対し、同時に空爆を開始した。

 米軍とイスラエル軍がイランに大規模攻撃を実施したことにより、原油輸送ルートの要衝であるホルムズ海峡が実質的な閉鎖状態となった。

 国際原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は日本時間3月9日朝の取引では一時、119.48ドルと2022年6月以来の高値を付けた。2022年当時も120ドル台でピークアウトしていた。

 外為市場ではイラン情勢を背景に原油高による貿易赤字拡大による円売りに加え、有事のドル買いが進み、ドル円は160円に接近した。

 2022年も円安が進行していた。2022年ドル円は初めに115円台だった円相場は同年秋にかけて一時150円台に上昇していた。

 日本での輸入物価の上昇に伴う貿易赤字の急拡大で円売り需要が膨らんだ。さらに2022年4月から日本の消費者物価指数(除く生鮮)が2%を超えてきたにもかかわらず、日銀は正常化に踏み込めなかった。

 これに対、欧米の中央銀行がインフレ抑制の大幅利上げを実施し、日本と欧米の金利差が一気に広がったことも影響していた。

 長期金利の動きをみると、2022年当時と現在では雲泥の差となっている。2022年は年末にかけて上昇したとはいえ、0.1%台から0.4%台での推移となっていたのである。

 日銀は2022年12月に長期金利の変動幅を従来の±0.25%程度から±0.50程度に拡大。2023年7月に実質的に長期金利コントロールの上限を1%に引き上げた。

 2024年3月にマイナス金利政策と長期金利コントロールを解除し普通の金融政策とした。2024年7月に政策金利を0.25%に引き上げ。2025年1月に政策金利を0.50%に引き上げ。2025年12月に政策金利を0.75%に引き上げた。

 長期金利コントロールの解除というよりも物価に応じた長期金利の形成もあり、長期金利も上昇基調を強め、2%台に上昇してきた。

 今後、原油価格などの上昇による輸入物価の上昇に伴う貿易赤字拡大で円売り圧力が強まる可能性が高い。

 2022年当時は日本と欧米の金利差拡大が需給の円売りに拍車をかけた。

 今回も日銀は原油価格上昇による景気悪化を意識して利上げを躊躇するのか。それともインフレ対応を重視し、積極的な利上げ姿勢を示すのか。

 日銀の1月の金融政策決定会合議事要旨、3月の決定会合の主な意見を見る限り、積極的な利上げを続ける可能性は高いとみている。しかし、利上げは高市首相と対立姿勢を強める可能性もありうる。

 日銀が利上げに躊躇すると円安が加速する恐れもあり、それが物価上要因ともなりかねない。日銀が早期利上げに踏み切り、金利差要因からの円安の防波堤になるのかどうか見極めたい。


2026年4月13日「3月の消費者態度指数は悪化」

 内閣府が9日に発表した3月の消費動向調査では、消費者態度指数が前月比6.4ポイント低下の33.3とトランプ米政権が相互関税を発表した直後の昨年5月以来の低水準となった。落ち込み幅もコロナ禍の2020年4月以来の大きさとなっていた(9日付ロイター)。

消費動向調査(月次)結果 https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html

 調査基準日は3月15日、調査票回収期は3月6日(金)から23日(月)となっていた。

 2月28日、米とイスラエルは3か所で開催されていたイラン政府高官らが集まる会議に対し、同時に空爆を開始した。

 米軍とイスラエル軍がイランに大規模攻撃を実施したことにより、原油輸送ルートの要衝であるホルムズ海峡が実質的な閉鎖状態となった。

 27日のWTI先物4月限は67.02ドルとなっていたが、28日には72ドル近くに達した。

 3月5日にペルシャ湾で少なくとも2隻のタンカーが攻撃を受けたと報じられた。これを受けてWTI先物4月限は一時、82.16ドルと期近物としては2024年7月以来の高値を付けた

 6日には90ドル台に、日本時間9日朝の取引では一時、119.48ドルと2022年6月以来の高値を付けた。

 その後は戻り売りも入り、23日には88ドル台に下落していた。それでも米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃の前の水準からみても高い位置にあった。

 今回の消費動向調査は2月末の米国とイスラエルによるイラン攻撃以降の調査となり、原油価格が上昇し、それによる物価高懸念や先行き不透明感が消費者態度指数を下押した。

 家計の物価見通し調査では、1年後の物価が上昇するとの回答率が93.1%と前月比7.5%上昇。そのうち物価が5%以上上がるとの回答率は2月の36.5%かに53.4%に上昇した。

 日本時間の8日朝、米国とイランは2週間の停戦で合意した。イランによるホルムズ海峡の通航再開と引き換えに米国とイスラエルが軍事作戦を停止する見込みとなった。

 しかし、米国とイランとの停戦が崩れることへの懸念が高まり、9日のWTI原油先物は再び100ドル台をつけるなど、不安感は拭えていない。

 仮にホルムズ海峡での通航が再開されても、通常の状態に戻るにはかなりの時間を要することも予想される。

 日銀が10日に発表した3月の企業物価指数速報によると国内企業物価指数は前年比2.6%の上昇となった。2月の2.1%からプラス幅を拡大した。石油・石炭製品や化学製品が押し上げた格好となった。


2026年4月10日「日銀は利上げを躊躇すべきではない」

 前日本銀行理事で財務省出身の貝塚正彰氏は、日銀の追加利上げのタイミングについて、4月の金融政策決定会合の可能性が高いとの見方を示した(9日付ブルームバーグ)。

 4月8日に米国とイランは2週間の停戦で合意した。イランによるホルムズ海峡の通航再開と引き換えに米国とイスラエルが軍事作戦を停止する見込み。

 次回の日銀金融政策決定会合は、4月27、28日に開催される。8日から2週間という停戦が本当に守られるのか。また、11日からの米国とイランの交渉がまとまるのか。不安要因は残る。

 このため、日銀は4月27、28日の決定会合では利上げに慎重になるのでしないかとの観測も出ている。

 しかし、物価水準に政策金利水準が届いていない状態、つまり緩和的な状態となっていることで、この状態そのものが物価を押し上げる要因ともなる。

 また、欧米などとの政策金利の差がなかなか縮小しないことで、円安圧力も加わりやすく、これも輸入物価の上昇を通じて物価を押し上げる。

 物価に応じた適切な水準にまで政策金利を戻してから次を考える必要があると思う。

 貝塚氏も貝塚氏は、中東情勢の緊迫化で原油価格などが上昇している中、企業や家計の予想インフレ率に波及すれば、政策対応が遅れるビハインド・ザ・カーブに陥るリスクが高まると指摘。

 私自身はすでにビハインド・ザ・カーブに陥っている状態とみている。ここであらためて中東情勢によるエネルギー価格の上昇で、さらに物価上昇の懸念も強まっており、日銀は淡々と正常化を行う必要がある。

 貝塚氏は、日銀が3月下旬に政策効果などを除いた新たな物価指標や、独自に試算している需給ギャップの推計方法の見直し、自然利子率の再推計などを相次いで公表したことも、利上げの地ならしにみえると指摘。

 これも同意見である。

 政権から、利上げに反対意見が出てくることも予想される。しかし、金融政策の手段は日銀が決めることでもあり、長期金利の急騰などを押さえるためにも適切な政策を貫く必要があり、ここで利上げに躊躇すべきではないと考える。

 貝塚氏は、日銀が政策金利を1%に利上げすれば、新日銀法施行前の1995年以来、31年ぶりの高水準となる。貝塚氏は、現在の日銀執行部にとっても「未踏の領域」としつつ、そこを躊躇していたら金融政策の正常化はできないとの見解を示した。


2026年4月9日「米国とイランは2週間の停戦で合意」

 米国とイランは2週間の停戦で合意した。イランによるホルムズ海峡の通航再開と引き換えに米国とイスラエルが軍事作戦を停止する見込み(ブルームバーグ)。

 米国のトランプ大統領は「イランから10項目の提案を受け取り、これが交渉の実行可能な土台になると考えている」と指摘した。

 また、イランのアラグチ外相は8日の声明で、自国への攻撃が停止されればイランも攻撃を停止すると述べた。ホルムズ海峡の安全な通航について、イラン軍との調整の下で2週間可能になるとした(ロイター)。

 2週間の停戦は、アメリカとイランの仲介役を務めるパキスタンのシャリフ首相が8日に提案していたもので、エネルギー施設などへの大規模な攻撃は、期限の直前に見送られた。

 長期戦による資源の枯渇を避けたいという思惑が一致した結果ではないかとの観測が出ている。

 イランが事実上封鎖しているホルムズ海峡に関し、イランが「完全、即時、安全」な開放に同意することを条件とした(読売新聞)。

 実際にはどのような駆け引きが行われていたのかはわからないが、トランプ氏のコメントがころころと変わる状況が続き、不安が大きく募るなか、ひとまずホルムズ海を巡る不安はいったん解消に向かう可能性が出てきた。

 これを受けて原油先物は大きく下落した。7日のWTI先物は一時1バレル117.63ドルと期近物として約1か月ぶりの高値を付けた。8日の東京時間に同先物は一時91ドル台に急落した。

 ただし、これによってすぐにホルムズ海峡を通る原油の供給が復活するわけではなく、このまま原油先物価格が下落に向かうかどうかも見通しづらい。

 8日の東京株式市場ではホルムズ海峡の閉鎖がとけるとの期待も強まり、日経平均は一時、2900円を超す上昇となった。

 ドル円は160円近辺から158円台となるなど円買いドル売りも進行した。

 債券先物は130円61銭まで買い戻されたが、日銀の追加利上げ観測もあり、戻り売りに押され上げ幅を縮小。


2026年4月8日「個人向け国債の利率がいずれも過去最高を記録」

 4月に募集される個人向け国債の利率がいずれも過去最高を記録した。

 ここにきて原油価格の上昇による物価への影響なども意識され、国債の利回りが上昇しており、それが個人向け国債の利率にも反映されている。

 変動10年国債の初期利子は1.55%(税引き前)となった。これは3月発行の1.48%を上回って過去最高利率となった。

 固定5年の利率は1.79%(税引き前)となった。2月発行の1.59%を抜いてこちらも過去最高利率となった。

 固定3年の利率は1.51%(税引き前)となった。こちらも3月発行の1.39%を上回って過去最高利率となった。

 個人向け国債の利率が上昇してきたのは日銀が金融政策の正常化に乗り出し、政策金利を引き上げ、それとともに国債利回りも上昇してきたことによる。

 昨年12月18、19日の日銀金融政策決定会合では政策金利を0.75%に引き上げた。政策金利は30年ぶりの高い水準となっている。

 その後の国債利回りはさらに上昇している。

 2026年も日銀の利上げは継続するとみられていることに加え、原油価格の上昇などによる物価への影響なども意識され、欧米の長期金利の上昇なども背景にある。

 3月29、30日の金融政策決定会合の主な意見では下記のような意見が出ていた。

 「今後の利上げのタイミングについては、中東情勢の影響のほか、賃金、物価、金融環境などを確認しながら判断していくことになる。具体的には、次回会合以降、賃上げや期初の値上げの広がりなどを見極めつつ、前回の利上げ以降もなお金融環境が緩和的であることを仔細に確認していくことが適当である」

 「中東情勢は物価上昇と経済の下押しにつながり得るものの、現在の金融環境のもとでは、物価の上昇基調は維持されると見込まれるほか、人手不足を受けた賃上げの継続や企業の投資意欲の高さ等を踏まえると、今後も間を長く空けずに金融緩和の度合いの調整を検討することになると考えている」

 「基調的な物価上昇率が2%を超えて上昇し続けることは避けなければならない。経済環境や中小企業の賃上げスタンスが大きく崩れる兆しがみられなければ、躊躇なく利上げに進むことが必要である」

 「中立金利までまだまだ距離がある状況でビハインドザカーブに陥ると、急激かつ大幅な金融引き締めを余儀なくされ、わが国経済に大きなショックを与えてしまうことになる。中東情勢の進展や短観、支店長会議での報告、企業ヒアリング等を踏まえ、利上げ幅を含め、利上げについて検討したい」

 2026年では2回から3回程度の利上げの可能性があるとみている。

 一回あたりの利上げ幅はこれまで通りの0.25%が予想され、2回であれば1.25%、3回となれば1.50%の政策金利となる。

 消費者物価指数(除く生鮮)は、一時的に上昇幅を縮小させる予想となっており、2月は1.6%と2%を割り込んでいる。しかし大きく上昇幅が縮小することは考えづらく、中東情勢の緊迫化による影響もあり、むしろ物価上昇圧力が強まる可能性がある。

 日銀の政策金利は最低でも1.5%あたりに引き上げることが予想されている。さらに物価の上昇に加え、債務悪化なども意識されると国債利回りは予想以上に上昇する可能性が出てくる。

 政策金利の引き上げによって預貯金金利の引き上げも予想されるが、国債利回りの方がスピードが速い。

 このため個人向け国債の利率は少なくとも預貯金金利に比べて、さらに高い水準が継続されると予想される。

 3年固定や5年固定へのニーズもあるとは思うが、今後の国債利回りのさらなる上昇を予想するのであれば、引き続き10年変動をお薦めしたい。


2026年4月7日「長期金利は2.425%に上昇、次の節目は1999年2月に付けた2.440%だがここも通過点か」

 4月6日の債券市場では、直近発行された10年国債の利回り(長期金利)が2.425%まで上昇してきた。売買高の多い「指標銘柄」の利回りが長期金利とされていた1999年2月以来およそ27年ぶりの高い水準となった。この際にはいわゆる運用部ショックによって長期金利は2.440%まで上昇していた。

 現在は直近発行された10年国債がベンチマークとなっているが、以前は発行額が多い銘柄が主に「指標銘柄」として活発に売買されていた。この指標銘柄の利回りが長期金利となっていた。

 そんな時代に遡らないとならない水準を付けてきたわけだが、3日には2.395%に上昇していたことで、2.4%台を付けるのは時間の問題となっていた。

 また2.4%もそれほど大きな節目ではなく、1999年2月に付けた2.440%も通過点となることが予想される。ただし、2.5%はさすがに心理的な節目となるかもしれない。

 特に1980年代に国債市場に携わっていた人は2.5%という数値は記憶に刻まれているはずである。

 1986年11月に国債の指標銘柄になったのが10年国債の89回債。89回債は大手証券を中心に積極的な売買が仕掛けられ、債券のディーリング全盛期を迎えた。

 1987年4月には証券会社や都銀などが積極的に自己売買を繰り返した結果、公社債の店頭売買高はひと月で1000兆円を超えてきた。

 5月14日に89回債は10年債でありながら2.55%に利回りが低下し、2.5%の公定歩合に接近した。日本相互証券の端末において89回債の売りが、2.555%に約3千億円、2.55%には約2千億円もまとまって並んでいたが、それが一気に買い上げられた。

 これを全部買ったのが「公定歩合が高すぎる」というコメントをした大手証券のチーフディーラーとも言われている。結局、ここで債券バブルは終焉し、この2.55%が当時の10年国債の最低利回りとして記録されることになる。

 この債券バブルの崩壊により、金融機関のみならず、事業法人でも債券相場において大きな損失が発生した。1987年9月2日、タテホ化学工業が債券先物取引において286億円もの損失を出したことが明らかになった。

 このニュースにより、債券市場では、いわゆる「タテホショック」が引き起こされ、債券相場は暴落(長期金利は急上昇)した。9月3日から5日までの3日間で89回債の利回りは1%あまり上昇したのである。


2026年4月4日「原油先物への介入など現実的ではない、政府がすべきことは別にある」

 片山さつき財務相は原油先物市場の投機的動きが為替に影響を与えていると述べた。

 関係者によると財務省は原油先物市場への介入を視野に大手金融機関などに聞き取り調査を行っており「全方位」には原油先物市場も含まれているとみられているとも報じられた。

 外為市場の介入そのものも効果は一時的であり、よほどうまくタイミングを取らなければ意味はないと私は思っている。日銀による国債や株式市場の介入についても反対であり、市場機能を乱すだけだと考えている。

 原油先物への政府よる介入は、そもそも現実的ではないというか無謀である。

 原油先物の代表的なものにWTI先物がある。原油先物取引でのWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)とは、その名の通りの西テキサス地方の中質原油を原資産とする先物取引となる。

 この原油は含有硫黄分が少なく軽質でガソリンや軽油が多く採れるといった特徴を持っている。取引量と市場参加者が多く、原油価格の代表的な指標となっている。

 WTI先物にも精算日が存在する。たとえば2020年5月限(ぎり)の精算日は4月25日となり、3営業日前となる日が取引最終日となる。

 ただし、前月25日が営業日でなければ、25日の前営業日から3営業日前となる日に取引が終了する。つまり、WTI先物5月限の取引最終日は4月21日となる。

 どうして2020年のWTI先物を取り上げたかといえば、この先物であろうことかマイナスが生じたためである。その要因は決済手段にあった。

 原油先物取引で注意すべきはその決済の方法にある。長期国債先物取引や原油先物取引には「現引き・現渡し」という手段が存在する。

 最終取引日の最終取引までに反対売買を行うことで差金決済はできる。しかし、取引最終日に反対売買を行わなければ、買いと売りの建玉(たてぎょく)が残る。それは原油や国債現物の「現引き・現渡し」によって決済されるのである。

 今回の想定される介入とは原油価格を引き下げるための空売り(ショート)となろう。もし売り玉を最終取引日までに反対売買を行わなければ、西テキサス地方の中質原油を買い方に引き渡す必要がある。

 日本の原油の備蓄にどれだけ西テキサス地方の中質原油があるというのであろうか。つまり決済リスクが存在する。

 市場規模や参加者が外為市場や東京株式市場などと異なるなど、かなり未知の世界であるため、素人がいきなりプロの投資家と取引するようなことにもなりかねず、結果も見えているのではなかろうか。

 政府による介入によって市場で形成される価格を何とかできるという発想そのものもいかがなものか。

 今回の原油先物価格の上昇は投機的なものではない。米国のトランプ大統領がイランへの戦闘継続を示唆したことで、中東情勢のさらなる緊迫化が意識され、ホルムズ海峡の閉鎖は続く。原油の供給懸念が強まったことで、原油価格は上昇した。つまり現実と整合的な動きをしているので投機的という言葉はおかしい。ここで原油価格を介入というかたちで抑えても、むしろ投機筋の絶好の買い場を形成してしまうだけとなりかねない。

 政府がすべきことは原油市場への介入などではなく、一刻も早く中東の戦闘を中止させるように働きかけることである。また今後の原油の供給だけでなく、ホルムズ海峡閉鎖がサプライチェーンにどのような影響を与え、何が不足する懸念があるのかを突き止めることである。別な入手先を求め、外交による働きかけを行うことなどが優先事項ではないのか。


2026年4月4日「2日の10年国債の入札が低調な結果となった要因」

 2日に実施された10年国債(183回)の入札は最低落札価格が100円04銭となり、市場予想の100円44銭を大きく下回った。

 平均落札価格は100円40銭となり、最低落札価格との差は36銭と、2024年8月の50銭以来の大きさとなった。

 予想されていた水準よりかなり低い価格での落札となり、テールと呼ばれる平均落札価格と最低落札価格の差が大きくなった。これは低調な結果といえる。

 2024年8月6日の10年国債が低調な結果となったのは、市場の動揺が影響していた。前日5日に東京株式市場で日経平均の引けは4451円安となり、ブラックマンデーの下げ幅を上回ったことが影響したとみられる。

 4日の米国株式市場でインテルが大きく下落しインテルショックといえる状況に。他の半導体株も大幅に下落した。複数のヘッジファンドが大量のポジション解消に動いたことが影響し、5日の東京株式市場が急落。市場参加者が動揺していたことで、6日の10年国債の入札に影響を与えていた可能性がある。

 今回については、まず利率に注意する必要がある。4月の入札ということで、今回の10年国債はリ・オープンではなく新発債となる。

 その利率は2.4%と前回債の2.1%から引き上げられた。ここにきての欧米の長期金利の上昇や日銀の早期追加利上げ観測などから、利回り水準が上昇しており、それが反映された格好としなった。

 4月ということで新年度入りしたこともあり、利率も2.4%と21997年7月の2.5%以来の高さとなったことも好感され、無難な結果となる予想が多かった。

 ただし日銀の早期追加利上げ観測とともに米国のトランプ大統領の演説も予定されていたことで、それなりの警戒感もあった。

 そのトランプ大統領の演説では、早期の停戦が示唆されるという期待感も出ていた。しかし実際には、トランプ大統領は今後2〜3週間はイランを激しく攻撃すると発言したのである。これを受けて原油価格は上昇し、インフレ懸念を強める格好となった。2日の債券先物は大幅安となり、10年国債の利回りは2.390%と3月30日に付けた直近の最高利回りに並んだ。日経平均株価も午後に入って下げ幅は一時1300円超に拡大する場面があった。

 2024年8月のときと状況はやや異なるものの、いずれも市場に動揺が走り、業者も投資家も慎重姿勢とならざるを得なくなったことが、10年国債の落札結果に反映されたとみられる。


2026年4月3日「先物取引とは何か」

 政府が原油先物取引に介入するのではないかとの観測が出ているが、現物市場ではなく先物市場への介入については、決済の問題などが発生する。そもそも先物取引とはいかなるものなのか、その誕生の歴史から振り返ってみたい。

 デリバティブ取引のルーツは紀元前600年前ごろのアリストテレスの時代に存在していたとも言われているが、世界最初の取引所といわれている16世紀のアントウェルペン取引所では、すでにオプション取引や先渡し取引が行われていた。

 しかし、本格的な金融派生商品が登場したのは米国シカゴの取引所となる。そのシカゴの取引所が参考にしたのが、実は日本の江戸時代に大阪堂島で行われた米の先物取引だった。

 大坂には諸藩が設けた蔵屋敷に年貢米が送られていた。米の売却は蔵屋敷での競争入札で行っていた。落札した業者は代金の一分を支払い、蔵屋敷発行の米切手(米手形)を受け取り、一定期日以内に米切手と残銀を持参して蔵屋敷から米を受け取る仕組みとなっていた。

 この取引が時代とともに少しずつ変わり、米切手が転売されていくようになり、米切手そのものが米現物の需給に関係なく売買の対象となっていった。

 大坂の北浜に淀屋の米市と呼ばれる米市場があったが、のちに淀屋市が堂島に移る。堂島米市場で売買されていたのは落札された米切手。米の売買に際し現物の代わりに1枚10石単位の米切手という倉荷証券が授受され、米切手は米の保管証明書から一定量の米に対する請求権を表した商品切手に変わり、有価証券化していった。つまり堂島米市場は東京証券取引所のように有価証券取引が行われた証券市場であった。

 堂島米市場では着地取引として、米の廻着を待たずに米切手が先売りされるようになる。米切手の保有している商人は米の価格変動リスクにさらされることとなり、この米価の価格変動リスクのヘッジを目的として「売買つなぎ商い」という先物取引が考案された。この「つなぎ商い」が1730年に徳川幕府により公認され、堂島米会所が成立した。

 堂島米会所では、米切手を売買するいわゆる現物取引の「正米商い」に加えて、米の先物取引である「帳合米商い」が行われた。

 帳合米商いとは1年を春夏冬の三期にわけてそれぞれ4月28日、10月9日、12月24日を精算日とし、各期に筑前・広島・中国・加賀米などのうちから1つを建物(標準米)として売買し、反対売買による差金決済を原則とする取引となる。

 正米商いと帳合米商いともに消合場と呼ばれた株仲間組織による清算機関(クリアリングハウス)が存在していた。不正を行った株仲間を取引停止にするといった処置も講じられ、市場秩序が維持されていた。

 こうして帳合米商いは、現在の先物取引と同様にヘッジ目的だけでなく投機目的でも積極的に商人が参加し、世界に先駆けた先物市場が発展していった。

 そして話は米国に移る。

 米国では19世紀に中西部の開拓が進み、穀物の取引が盛んになる。ミシガン湖畔で海上交通上の主要地であったシカゴに穀物は集められ、この穀の季節的な価格変動リスクを避けるために、収穫前に値段を決め収穫時に現物を受け渡すといった取引が盛んになり、1848年に世界初の先物取引所といわれるシカゴ商品取引所(CBT)が設立された。ここではまず穀物に対する先物取引が行われ始められた。

 1971年のニクソン・ショックにより、通貨は固定相場から変動相場へと移り、価格変動リスクに晒されることとなりました。このリスクを回避するため、通貨を先物市場へ上場することがアメリカで検討され、1972年5月にシカゴにあるもうひとつの大きな取引所のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で、通貨先物取引が開始された。

 1975年にはシカゴ商品取引所(CBT)で初めて政府機関債の先物と金先物が上場され、1977年にアメリカ長期国債先物の取引が開始された。

 そして日本でも1985年に戦後初めてとなる金融先物、長期国債先物が東京証券取引所に上場されたのである。


2026年4月2日「日銀短観、大企業製造業DIは4四半期連続の改善」

 日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は前回2025年12月調査から1ポイント改善し、プラス17となった。4四半期連続の改善となる。ただし、先行きはプラス14と悪化が見込まれている。

 業種別では生産用機械の景況感が改善したほか、窯業・土石製品や非鉄金属なども改善した。先行きでは紙・パルプや窯業・土石製品などの悪化が見込まれている。

 日銀短観は3月、6月、9月、12月に調査が実施され、その結果は4月、7月、10月は上旬に、そして12月は年末ということもあり、12月中旬に発表される。

 業況感に関しての調査表を直接企業の経営者に送り、それを記入してもらい、回収して経済観測をまとめたものです。短観は、サンプル数も多い上、日銀が相手ということもあって回収率も高く、数多くある経済指標の中でも注目されている統計となっている。

 短観の中で、最も注目されているのが「大企業製造業の業況判断DI」と呼ばれるものとなる。前回のDIと比較することで足元の景気判断が良くなっているのか、悪くなっているのかを比較できる。

 D.I. (Diffusion Index)とは、企業の業況感や設備、雇用人員の過不足などの判断を「指数化」したもの。

 大企業非製造業の業況判断DIはプラス36となり前回調査から横ばい。先行きはプラス29と悪化の見通しとなっている。

 ロイターによると調査期間は2月26日から3月31日。回収基準日の3月12日までに約7割程度が回答した。

 米国とイスラエルがイランを攻撃したのは2月28日であり、日銀の担当者は「多くの調査先が中東情勢の悪化以降に回答してきたが、それが完全に織り込まれていることを意味するものではない」と述べたとか。

 中東情勢の悪化とそれによる原油価格の上昇というか、ホルムズ海峡の実質的な封鎖状態を意識すれば、先行き見通しはさらに悪化を見込む可能性もあったか。


2026年4月1日「日銀は高市政権の意向よりも実態経済・物価情勢をより意識して動こうとしている可能性」

 日銀はどうやら現在の高市政権の意向よりも、実態経済・物価情勢をより意識して動こうとしている可能性がある

 16日の夕方に高市首相は首相官邸で日銀の植田総裁と15分ほど会った。会談後に利上げ姿勢について首相の理解を得られたか記者団に問われ、植田日銀総裁は「具体的なことについては特にお話しできることはない」と答えた。首相から要望があったかどうかに関しては「特にない」と述べていた。

 毎日新聞が報じたところによれば、複数の関係者によると首相は追加利上げに難色を示した。具体的な発言内容は不明だが、「(2025年11月の)前回の会談の時より厳しい態度だった」という。

 注目されていた日銀審議委員人事案では、中央大学名誉教授の浅田統一郎氏と青山学院大学教授の佐藤綾野氏を充てるとした。あろうことか両氏とも金融緩和と積極財政を重視するリフレ派であった。

 高市首相のブレーンというか取り巻きはリフレ派とされている。首相就任後は日銀の正常化にも理解を示しているとの見方もあったが、衆院選を経て自らの考え方が正しいとの認識を強めていた可能性があった。

 日銀審議委員についても財務省や日銀などの意見に耳を貸さずに自らというか、リフレ派ブレーンの意見を聞いた上で決めていた可能性がある。

 今後の政策委員人事でも、リフレ派が次々に放り込まれる懸念する出るなか、日銀は高市政権の意向をそのまま反映するのではなく、あらためて利上げを進める意思を強めてきたように思われる。

 1月22、23日に開催された日銀金融政策決定会合の議事要旨をみると、追加利上げに向けて多くの委員から利上げに向けて積極的な発言が出ていた。

 1月会合後、2月末から米国とイスラエルによるイランへの軍事行動によって状況は大きく変わってきた。原油価格の上昇などによる経済への影響とともに、これはさららなる物価上昇圧力になりかねない。

 欧米の中央銀行も利下げではなく利上げを模索しようとしているなかにあり、日銀の動向も注目された。

 その意味でも3月18、19日に開催した金融政策決定会合の主な意見が注目材料となったが、ここでは1月会合より踏み込んだ利上げ姿勢が示されていた。

 加えて、日銀は、各種の制度変更に起因する「特殊要因」を除いた消費者物価上昇率の試算を発表、需給ギャップが2025年7〜9月期にプラス0.45%となり、2022年1〜3月期以降、15四半期連続でプラスとなっていると発表、自然利子率の動向と金融緩和度合いの評価など、利上げに向けた姿勢を補完するようなものを発表してきている。

 4月1日には日銀短観の発表もあり、こちらも念の為確認する必要はあるが、4月27、28火の金融政策決定会合における利上げ検討の可能性は高いとみざるを得ない。

 利上げ幅も0.25%ではなく0.50%の可能性もなくはないが、むしろ時間を掛けずにさらなる追加利上げも検討する姿勢を示してくる可能性が高いか。


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